入手

手に入れる事がこんなにも
虚しいだなんて
気付くのが遅すぎた

溢れたものに埋れ
ひとつひとつの意味すら知らず
圧迫感に安堵した

ふとした瞬間気付いたんだ
こんなにも溢れているのに
何ひとつ僕の心は
満たされてなどいなかったと

壁

とんでもなく高い壁だと
ずっと諦め気味に眺めてた
なのにどうだ
気付けば壁など後ろにあった

本当はただの張りぼてで
触れれば容易に倒れるだとか
跳べないと思い込み
跳んだら意外となんてことない

越えられないと思うことは
他人に笑われるようなことじゃない
いざ目の前にした者にしか
その恐ろしさは解らないのだから

越えるも越えないも
挑戦しなければ何も解らない
挑め人類
明日は壁など後ろにあろう

「大好き」

君はまた

「大好き」

と言った同じ口で　
僕じゃない誰かに
同じ言葉を言ってるの？

信じてれば良い？

責めれば良い？

怒れば

泣けば

笑えば

どれが良い？


もう辛いよ

でも、僕は君に

「大好き」

と言ったこの口で
君を傷付ける言葉を
言う事は出来ないんだ


だから


僕は、笑う事を選ぶよ


今日も「大好き」だよ

吸血鬼

あなたのその白い首筋に
僕は抑えきれず牙を剥く

怖がらないで
泣かないで

あなたを愛しすぎたんだ
僕は悲しき性の吸血鬼

触れさせて
愛させて

どうかあなたの体温を
舌で喉で感じさせて

手を取り合ってもキスをしても
そんな程度じゃ到底足りない

熱いあなたの血液が
愛していると叫ぶから
全部飲み干してしまいたい

あぁ 悲しきかな吸血鬼

愛しいほどに求めてしまう

雨

泣いてるのはあなただけじゃない

私の心も土砂降りよ

だけどあなたも土砂降りだから

互いの心が涙の雨で見えないね

泥にまみれて汚れた気持ち

洗い流してくれるの待ってるんだね

だけど私の雨は局地的で

あなたの元へは行かないの

あなたの雨もそこから離れてはくれないでしょう？

私たちに出来ることは

お互いの雨を認識し

言の葉の傘を渡してあげることね

雨を晴らすのは自分

昔からよく言うでしょう？


止まない雨はないんだってね