涙 のち 笑

笑えないから、泣いているのよ。

泣いているから、笑えないの。

欲しい言葉は何も無い。

差し伸べる手など必要無いわ。

涙なんて唯の水。

乾かない涙など無いわ。

泣いているのよ、笑えないから。

笑えないの、泣いているから。

欲しい言葉は無いけれど、

涙が乾けば私は云うわ。

泣いていないなら、笑えるのだから。

乾いた涙は空へ返して。

笑顔であなたと、空を見たい。

深海

いつからこんなに欲深くなったの？
あなたを愛し始めたのがそう？

深く愛そうとすると、深い罪悪感へと沈む。
純粋な愛は、自己への欲で黒ずみ濁る。

恋に恋する自分に溺れた？
愛だの恋だの私の空想？

深海に迷い込んだ様に、上だと想い下へと沈む。
そのまま消えて、私の悲鳴。

変わらず、変われず。

人は簡単に変わると云います。

ならば、どうして私は変われずにいるのでしょうか。

変わる一歩が果てしなく怖いのです。

私は人が怖いのです。

嫌いではありません。

怖いのです。

人に対する勇気をもう少し、

もう少しだけ出すだけで良い筈なのに、

私はそれが怖くてなりません。

変わりたいと願うばかりで、

実行する術を知っているばかりで、

何も出来ない私が居るのです。

変わらず、変われず、人生なんて、歩めないのに。

無題

月夜の空に、あなたを想う。

霞んで消える、おぼろげな記憶。

「愛してる」なんて壊れた言葉、

ぐしゃぐしゃにして雨に融かして。

姿の見えない、あなたを想う。

あなたを憎いと思ってしまう。

粉々になった「愛してる」、

掬いあげて風に舞わせて。

融かして。舞わせて。

憎んでしまったあなたへの記憶。

照らしてなんて欲しくないから、

薄れて流れて消えてゆけ。

蒼いクレヨン

偽った空、偽った海。

掬ったって

潜ったって

泳いだって

飛んだって

本当は蒼くなんかない。

色なんてない。

僕の涙も蒼くない。

色なんて、色なんて。

蒼なんて、

要らないもん。